不動産営業の中で、建売営業は「一番参入しやすく、一番天井が低い」仕事です。完成品を見せるだけで話は聞いてもらえます。だが、それだけで稼ぎ続けられる営業と、頭打ちになる営業に分かれます。この記事では、1年目から通用する実務の型と、現場でしか分からない給与のリアルをお伝えします。
→ 建売の要である用地仕入れについてはこちらで詳しく解説しています。
新築一戸建て建売営業の未来予測:これから求められる仕事とは?ただ売るだけの営業では勝ち残れないです。
建売営業の仕事内容
結論から言うと、建売営業は不動産営業の中でハードルが低い部類に入ります。理由は単純で、すでに完成している新築一戸建てを案内するだけで話を聞いてもらえるからです。注文住宅のように「まだ形のないもの」を売る難しさがありません。
流れはこうです。用地仕入れチームが土地を仕入れ→設計チームが建物・外構を設計→インテリアコーディネーターが仕様を決め→工務チームが建築→完成したものを営業チームが売ります。会社によって2〜3区画の小規模分譲を回す方針もあれば、20〜50区画の大規模分譲一本の方針もあります。この規模の違いで、働き方はまったく別物になります。
小規模分譲(2〜3区画)を回す会社の働き方
地域密着型です。担当エリアの店舗に出勤し、そのエリア内の分譲地を担当します。「どこに行ってもこの会社ののぼりが立っている」状態を作ることが集客につながります。
| 時間 | 平日 | 土日祝 |
|---|---|---|
| 9:00 | 朝礼・掃除 | 朝礼・掃除 |
| 10:00 | ローン打診・事務処理 | 商談1組目 |
| 13:00 | 現地写真撮影・チラシ/ネット媒体作成 | 商談2組目 |
| 15:00 | 契約書・重要事項説明書作成 | 商談3組目 |
| 18:00 | 追客電話(週末アポ取り) | 振り返り・追客電話 |
| 19:00 | 退勤 | 翌日商談の確認・退勤 |
大規模分譲(20〜50区画)を展開する会社の働き方
メーカー・デベロッパー系です。平日は本社で事務処理を終えてから分譲地へ、土日・祝日は分譲地の販売センターへ直行するスタイルが多いです。分譲地そのものが商品のため、道路の水撒き、竣工済み建物の掃除、雑草抜き、色褪せたのぼりの入れ替えといった「街の維持管理」も営業の仕事になります。
開発された分譲地は、上下水の配管も新しい、道路も新しい。これが意外と売りになります。
営業マンは道路も商品ということを理解して管理することが大事です。
特に大規模の分譲地は、お客様も期待されています。
新築の建物も一週間に一度は清掃しましょう。特に見落としがちな場所はサッシです。レールに埃がたまり汚れてきます。
お客様が窓を開けたときにサッシが汚ければ期待している分ショックも大きいです。
徹底して管理しましょう。
集客の実務:1年目が知っておくべき型
集客はネットが主戦場です。SUUMOが依然として強く、インスタ広告・Google広告(リスティング)を組み合わせる会社が増えています。紙のポスティングは減少傾向にあります。
実務で差がつくポイントは3つです。
- 写真は必ず晴天時に撮ります。分譲地写真は現地と前面道路の両方を撮影します。ロケーションの良さが写真の見栄えに直結し、そのまま反響数に跳ね返ります
- SUUMOは駅登録を必ず3駅入れます。登録駅数でヒット件数が大きく変わります
- 住所を丁目までしか公開しません。場所を特定させず「情報の中身は良い」状態を作ると問い合わせが増えます
反響が来たら5分以内に電話するのが鉄則です。ヒアリング→来場予約→物件ピックアップ→アンケート→提案→現地案内→資金計画→買付→ローン審査→契約→決済という流れの中で、最初の初動対応の速さが成約率を最も左右します。
商談で結果を出すための2つの武器
①エリアに徹底的に詳しくなる お客様が希望する物件は大抵、予算オーバーです。そこで「なぜこの物件が良いのか」「なぜこのエリアが良いのか」を、坂道の有無、学区、用途地域の特徴まで含めて説明できるかどうかで、提案の説得力が変わります。素人相手に理論武装できる営業だけが、値引きに頼らず契約を取れます。
実体験:最初の1件は「運」で決まった 筆者は建売営業に転職した直後、たまたま1件成約しました。しかしそこから結果が出なくなり、伸び悩んだ時期があります。振り返ると、最初の契約はお客様のタイミングが良かっただけで、エリアへの理解や商談の組み立てがあったわけではありませんでした。運で取れた1件を「自分の実力」だと錯覚すると、次の壁にぶつかったときに何を直せば良いのか分からなくなります。
②商談を組み立ててから臨む 何を話し、いつ物件を案内し、戻ってきたら何を伝えるか——順番を事前に設計しておきます。伝える順番を間違えると、正しい情報でも相手の心に響きません。
実体験:結果が出ない部署をたらい回しになった時期 筆者は注文住宅の営業で結果が出せず建売の部署へ異動し、そこでも結果が出ず、さらに用地仕入れへ異動した経験があります。今振り返ると、当時は「商談の型」を持たずに感覚だけで話していました。エリア理解も商談の組み立ても、教わらなければ気づけないまま数字を追っていたことが、結果が出なかった一番の原因だったと思います。
商談の場では、書きやすいペン・綺麗な字・清潔な身だしなみも軽視できません。お客様は無意識に「この営業から買いたいか」を判断しています。ネイビー基調のスーツ、白かブルーのシャツ、赤系のネクタイを避ける(「止まれ」の連想を避けるため)といった細部まで、プロとして意識する価値があります。
建売営業の魅力と大変なところ
魅力:商品が完成しているため見た目の説得力が強く、最新設備を導入した際の顧客反応もダイレクトに検証できます。売買仲介と違い、決まらなくても他の物件を紹介できる会社もある一方、大規模分譲では「その分譲地で押し切る」しかないケースもあり、これは地味に難易度が高いです。
大変なところ:成績の良い営業に良い分譲地・良い待遇が集中する構造は、この業界の典型的な課題です。上位1〜2割のスーパー営業だけでなく、残り8〜9割をどう伸ばすかに力を入れている会社かどうかは、転職・就職先を選ぶ際の重要な判断材料になります。
給与・年収のリアル
基本給20万〜30万円+歩合(1件成約でおよそ20万円前後)というのが一般的な構造で、ボーナスがなく業績連動の一時金のみという会社も少なくありません。トップ営業でも年収700万円程度というケースは珍しくなく、これは「建売会社は自社で仕入れた商品しか売れない」という構造上の上限があるためです。50区画の分譲地でも、完成している区画数が5戸しかなければ、営業が3人いても売れる数は限られます。
豪遊できるほど稼ぐのは難しいですが、大きく崩れずに生活できる水準は確保しやすい業種と言えます。
必要な資格
宅地建物取引士は必須です。完成した建売のみを扱うならこれで十分ですが、建築条件付き土地を扱う場合は2級建築士やファイナンシャルプランナーの資格があると強みになります。建物の自由度が上がるほど「建物の知識」と「お金の知識」の両方が顧客の安心材料になります。
勤務時間・休日
水曜定休は今も業界の名残として残っていますが(商談が「水に流れる」という古い縁起担ぎ)、最近は火水連休を推奨する会社が増えています。勤務時間は9:00〜18:00が目安で、残業を推奨しない流れが強まっている一方、量をこなすことを評価する古い体質の会社も残っています。残業代の有無は会社によりばらつきがあり、中小企業では残業代が発生しないケースが多いです。
ビジネスとして考えると、残業や休日出勤をすることなく、限られた時間内で成果を出す仕組みを考えることが管理職に求められる仕事です。
まとめ
建売営業は参入しやすい反面、天井も見えやすい仕事です。差がつくのは、エリアへの理解の深さと、商談前の準備、そして反響への初動の速さです。派手なトークテクニックより、この地味な積み重ねの方が長期的に結果を左右します。
私が不動産業界で見てきた数々のトップ営業マンに共通していること、それは再現性があることです。
商品が良ければたまたま売れることもあります。でもそれはたまたまだから次も売れるわけではありません。
しかしトップ営業マンはたまたまではありません。売れる型を持っています。売れる型を持ったうえでお客さまによって営業方法を変えています。
しかもトップ営業マンは売れる型だけではなく、売れなかった時の理由も知っているからトップなんです。
商談中の資料の出し方、ヒアリングの仕方、テンポまで、その先にある「買わない」を知っているから対策できるんです。
トップ営業マンは「仮説 → 実行 → 改善」の数が多いのです。この分母が多いから信憑性も出ます。
もう一度言います。「再現性がある」これがとても大事です。
最後にビジネスマンとしておすすめの「仕事の教科書」を紹介します。
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