建売分譲での設計の仕事とは?設計の仕事で成功する方法

私の10年間の不動産営業経験から、建売分譲での設計部の仕事を紹介していきます。

特に設計職として、会社から評価される方法を書いていきたいと思います。

設計職といっても、注文住宅と建売分譲住宅とでは、仕事内容が大きく変わってきます。

建売分譲の設計の仕事には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?設計職を志す人のために、この記事では、建売分譲の設計の仕事の特徴や魅力、課題などを紹介します。

目次

建売分譲住宅とは

建売分譲とは不動産会社が土地を購入し、自社の設計で間取りを決めて建築してから販売することです。

建売分譲の設計の仕事とは、その住宅の間取りや外観、構造などを決める仕事です。

間取りや仕様を決めてから販売するので、注文住宅と違って、お客様と直接打合せをするケースは少ないです。

建売分譲の設計の仕事内容

建売分譲の仕事といっても、分譲する土地の規模によって仕事内容が変わってきます。

建売分譲の設計というポジションは、かなりキーポイントになる部署です。

では、キーポイントになる理由も含め、実際の仕事内容を書いていきます。

建売分譲会社の設計職は、土地に合わせた分譲住宅のプランニングや図面作成、確認申請などの業務を行う職種です。

一棟一棟、使いやすく快適な住まいを提供するために、建築基準法や法規、各種制限を厳守しながら、間取りやデザイン、外構などを考えます。

また、工務部と営業部と連携もキーポイントとなります。

工務部とは、土地の高低差の土留め処理の確認や細かい収まりなどの着工前の打合せを行います。

営業部とは、反響(お客様からの問い合わせ)がとれる間取り、要は広告等に掲載する際に図面映えする間取りを考えて欲しいのです。

建売分譲会社の設計職には、企画設計、実施設計、外構設計などの専門分野があります。

企画設計は、土地の形状や周辺環境、陽当たりなどを考慮して、間取りやコンセプトを決める仕事です。

実施設計は、企画設計のプランに基づいて、確認申請用の図面や書類を作成し、審査機関へ申請手続を行うのが実施設計の仕事です。

申請後は、販売営業担当からの問い合わせ対応や、工事図面の作成や修正なども行います。工事図面は、建築工事に必要な構造図、基礎図、意匠図などを含みます。

外構設計は、車庫計画の実証、玄関階段の検討、植栽や手すり、ポストの位置や色味などを総合的に計画する仕事です。分譲地全体のバランスや周辺環境に合わせて、美しいデザインを考えます。

一般的な建売分譲会社は、この外構計画にはあまり力を入れず、手を抜く会社が多いです。

なぜなら建売の場合は、できる限り原価を抑えたいからです。

外構は原価を抑えるのにもって来いの存在です。

逆に外構デザインをしっかり計画している会社は素晴らしいです。

外構は家の顔になりますので、ここをしっかりデザインするととても良い家になります。

まず2区画や3区画など小さい規模でまわす会社の仕事内容

小さい規模での建売分譲で、最も大事なことがスピードです。

スピードが大事な理由を、建売分譲の仕事の一連の流れと合わせて説明いたします。

まず、建売分譲の事業は、土地の仕入れから始まります。

土地を仕入れなければ何も始まりません。

→土地仕入れの詳しいお話はこちらからどうぞ。

その仕入れから設計職が関わっていきます。

①ボリュームチェック編

土地を仕入れる際には、土地の形状や大きさによって間取りの入り方が変わってきます。

その会社が考える「良い間取り」というものがその土地に入るか入らないかによって、販売価格が変わってきます。

販売価格が変わってきたら、もちろん土地を仕入れる価格も変わってきます。

土地を仕入れる価格が変わるといっても、できるだけ高い価格で買いに行かないと買えるものも買えません。

そこで設計の出番になるのが、仕入れ前のボリュームチェックです。

土地仕入れチームが土地買取案件をとってくると、設計にボリュームチェックがまわってきます。

このボリュームチェックにスピードが必要です。

良い間取りが入るか入らないかで、そもそもその土地を買うか買わないかの判断をします。

仕入れチームの原則としては、土地買取案件が入ってから、買うか買わないか、いくらで買うか、という試算をして返事をするまでを当日、もしくは翌日までに行うのが鉄則です。

ということは、設計のボリュームチェックが仕入れからまわってきたら、すぐに取り掛かることが重要です。

何よりも早く30分以内で返すのがベストです。

なぜなら土地を仕入れることが一番重要な仕事だからです。

5分でも早くボリュームチェックを仕入れの部署に返しましょう。

このスピード感で仕事ができたら評価してもらえます。

逆にできなかったら生きていけないです。

②販売用間取り作成編

土地の仕入れが確定したら、販売用の間取りを作成します。

販売用と言っても、実際に建築する間取りを作成します。

ここでもスピードが必要です。

土地の仕入れが確定して、仕入れ契約したと同時に販売を始めます。

基本的な流れとして、買取案件がくる→翌日までに買付(購入申込書)を出す。→2週間から3週間後に売買契約。

※区画数によって契約日は変わってきます。

という流れです。

土地仕入れの契約までに販売用の間取りができていなかったら話になりません。

細かくいうと、設計が販売用の間取りを作成する。→ その間取りで営業が広告用に使う間取りデザインの作成を依頼する。→ 広告に掲載する。

土地仕入れ契約の3日前には販売用の間取りが欲しいですね。

このスピード感で売れる間取りの作成が必要です。売れる間取りを作成するには、早いうちにどんどん失敗をした者が勝ちます。

世の中には人気の無い間取りというものが存在します。

例えば収納が少なかったり、LDKがせまかったりというものです。成功を掴むにはいかに失敗を数多く出して、消去法で成功を出していく事が大事です。

会社によってそれぞれ設計原則みたいなものがあります。これは会社によって違います。例えばLDKは18帖以上。主寝室にはウォークインクローゼットを設置する。とかがあります。

建売分譲の設計の仕事のメリット

建売分譲の設計の仕事には、以下のようなメリットがあります。

自分の設計が形になる

建売分譲の設計の仕事では、自分の設計した住宅が実際に建てられるので、自分の作品が形になる喜びを味わえます。

また、自分の設計した住宅が多くの人に住んでもらえるというやりがいもあります。

この世の中、街に自分が設計した家が建ち並んで、人が住んでいる光景を見ると感慨深いものがあります。

設計の幅が広い

建売分譲の設計の仕事では、土地の条件や市場のニーズに応じて、様々なタイプの住宅を設計できます。

例えば、一戸建でも平屋や二階建て、三階建て、和風モダンやヴィンテージスタイル、サーファーズハウスなど、多彩な住宅を設計することができます。

また、設計のスタイルやテイストも自由に表現できます。

スキルや知識が身につく

建売分譲の設計の仕事では、建築の基本的な知識や技術はもちろん、法律や規制、コストや工期など、様々な要素を考慮しながら設計する必要があります。

そのため、建売分譲の設計の仕事をすることで、幅広いスキルや知識が身につきます。

また、工務部や営業部、インテリアコーディネーターなど、様々な部署と連携することで、コミュニケーション能力や交渉力も鍛えられます。

建売分譲の設計の仕事のデメリット

一方で、建売分譲の設計の仕事には、以下のようなデメリットもあります。

自由度が低い場合がある

建売分譲の設計の仕事では、自分の設計した住宅が販売されることが前提なので、自分の好みやこだわりだけで設計することはできません。

様々な制約や要求に応えることが求められます。

また、会社によっては不動産の仕事ならではの営業が強い会社もあります。

間取りも営業の意見を採用しないといけない場合などは、逆に設計の自由度が低い場合があるというデメリットがあります。

責任が重い場合がある

建売分譲の設計の仕事では、自分の設計した住宅が実際に建てられるので、設計のミスや不備があると、住宅の品質や安全性に影響することがあります。

また、自分の設計した住宅が販売されることが前提なので、販売の成否にも影響することがあります。

そのため、責任が重い場合があるというデメリットがあります。

建てた家が売れなかったら設計が悪いと判断される場合もあります。

それが嫌だから予め営業の意見を聞き入れて自分のリスクヘッジをする場合もあります。

建売分譲の設計の仕事に必要な資格やスキルは?

建売分譲の設計の仕事に必要な資格やスキルには、以下のようなものがあります。

建築士の資格

建売分譲の設計の仕事には、建築士の資格が必要です。

建築士とは、建築物の設計や監理を行うことができる国家資格のことです。

建築士には、一級建築士と二級建築士がありますが、建売分譲会社で勤務する場合は、二級建築士のみで十分です。

もちろん一級建築士の方が設計できる建築物の種類や規模が広いですが、特段必要ないかと思います。

木造建築士では弱いイメージがあります。(あっても無くても一緒です)二級建築士は取得しましょう。

建築士の受験資格

二級建築士試験・木造建築士試験の受験資格は、建築士法第15条において、建築に関する学歴又は資格等(以下「学歴要件」という。に応じて、必要となる建築実務の経験年数(以下「実務経験要件」という。が定められています。

建築に関する学歴又は資格等実務経験年数 (試験時)
大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者    最短0年
建築設備士     0年
その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等)  所定の年数以上
建築に関する学歴なし    7年以上

建築に関係しない大学を卒業したが建売分譲会社へ新卒入社した場合、高いハードルになるのがこの受験資格です。

上記の表のように実務経験年数が7年以上という長さがネックになります。

ただ、7年の実務経験を終了して二級建築士を受験する人間は山ほどいます。

それだけこの業界は魅力のある仕事だという証拠です。

CADのスキル

建売分譲の設計の仕事には、CADのスキルが必要です。

CADとは、コンピューターを使って設計図や図面を作成することができるソフトウェアのことです。

CADを使うことで、設計の効率や精度を高めることができます。

CADには、様々な種類や機能がありますが、建売分譲の設計の仕事では、主に「ARCHITRENDZERO」を使う会社が多いかと思います。

たまに「Walk in home」を使っている会社もあります。

CADのスキルを身につけるには、基本的に独学で学びます。

会社から通信教育、スクールなどで学べる環境を提供されることはほぼ無いです。

建築の知識やセンス

建売分譲の設計の仕事には、建築の知識やセンスが必要です。

建築の知識とは、建築の歴史や様式、構造や材料、法律や規制など、建築に関する幅広い知識のことです。

建築の知識を身につけるには、本やインターネットで学べますが、市町村によって規制が変わってきますので、実際に家を設計しながらOJTで学ぶことが一番良いです。

建築デザインのセンスとは、建築の美しさや機能性、快適性などを判断する能力のことです。

Instagramで勉強することが一番早いですが、建築のセンスを身につけるには、実際の建築物を見て感性を磨くことが良いです。

メーカーさんの新商品にアンテナをはることもとても大事です。

LIXILさんやYKKさんの担当者から新しい商品の情報をもらえるような関係作りをしましょう。

建売分譲の設計の仕事のやりがいや魅力は?

建売分譲の設計の仕事のやりがいや魅力には、以下のようなものがあります。

自分のアイデアが評価される

建売分譲の設計の仕事では、自分のアイデアが様々な関係者に評価されることがあります。

特に、自分の設計した住宅が販売されたときや、購入者から感謝や満足の声を聞いたときは、大きな達成感や喜びを感じることができます。

また、自分の設計した住宅が建築賞などの受賞やメディアの取材などに繋がることもあります。

外構にも様々なメーカーがエクステリアコンテストを開催していますので、積極的に応募して賞をとる努力をしましょう。

社会に貢献できる

建売分譲の設計の仕事では、社会に貢献できることもあります。

自分の設計した住宅が、多くの人の暮らしや幸せに影響することがあります。

例えば、環境に優しい住宅やバリアフリー住宅などを設計することで、地球や社会の課題に貢献できることがあります。

また、災害に強い住宅や防犯性の高い住宅などを設計することで、人々の安全や安心に貢献できることがあります。

建売分譲の設計の仕事の課題や苦労は?

建売分譲の設計の仕事の課題や苦労には、以下のようなものがあります。

競争が激しい

建売分譲の設計の仕事では、競争が激しいことがあります。

建売分譲の市場は、需要や供給、景気や政策など、様々な要因に影響されます。

そのため、常に新しいアイデアや技術、サービスなどを提供しなければ、他の不動産会社や設計会社に取り残される可能性があります。

また、自分の設計した住宅が販売されるかどうかは、購入者の好みや判断に左右されます。

そのため、自分の設計に自信があっても、販売につながらないこともあります。

ワークライフバランスが崩れる

建売分譲の設計の仕事では、ワークライフバランスが崩れることがあります。

建売分譲の設計の仕事は、納期や予算、品質など、厳しい条件のもとで行われます。

そのため、設計の作業や打ち合わせ、現場の確認などに多くの時間や労力を費やすことがあります。

また、設計の仕事は、クリエイティブな仕事なので、インスピレーションやモチベーションが重要です。

そのため、仕事に没頭しすぎて、プライベートな時間や趣味などを疎かにすることもあります。

建売分譲の設計の仕事に興味がある人へのアドバイスは?

注文住宅の会社を経験してから建売住宅の会社に転職される方が強いです。

注文住宅で直にお客様と間取りのお打合せをすることで、実際に家を建てられる生の声を聴くことができます。

もちろん人それぞれ間取りの希望は全く異なりますが、やはりニーズをつかめることは強みになります。

建売分譲でテーマを決める際にはとても役立ちます。

建売分譲会社でよくありがちなことは、営業部から万人受けする間取りを作ってくれという声聞くことがあります。

これは典型的な間違いで、営業部が万人受けする間取りという意味は、変わったものを作らずになんの特色もなくテーマもない普通のお家を作って欲しいという事です。

冷静に考えてください。万人受けする家なんて無いです。万人受けするという意味は逆に誰の心にも響かない家という事です。反響も契約数も減ります。

例えばサーファーズハウスとか猫ちゃんと一緒に暮らす家とか令和の時代であれば防音設備にこだわった家とかテーマや特色があった方が良いです。

なぜなら、特色やテーマを作った方が、そのテーマに反応する方が必ずいるからです。

普通ではなく、逆に尖らせた方が、問い合わせも増えるし契約数もアップするということを知らない人が一定数います。

設計職で勤務する場合でもマーケティングを勉強することはとても大事です。

おすすめはこちらです。

→シュガーマンのマーケティング30の法則

まとめ

建売分譲の設計の仕事とは、不動産会社が土地を購入し、自社の設計で住宅を建てて販売することです。

その中でも設計の仕事はクリエイティブな仕事です。

自分のアイデアやセンスを活かして、オリジナルの住宅を設計することができます。

お客様のライフスタイルやニーズに合わせて、使いやすく快適な空間を提供することができます。

また、デザインや素材の選択にもこだわることができます。

市場の動向やトレンドの分析など、日々勉強することが求められます。

また、1棟1棟異なる設計をすることで、幅広い経験やノウハウを積むことができます。

建売分譲の設計の仕事に興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

あなたのセンスや技術で、素敵な住まいを作りましょう。

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